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プレゼントした星のTシャツ(エッセイ)

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じゅんだよぉ
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☆様々な音楽制作をしながらクラウン(道化師)としても活動しています。 ☆作詞・作曲・編曲など、音楽制作に関わるありとあらゆるお仕事をお待ちしています。是非一度ご相談ください。 ☆また、クラウンパフォーマーとしての出演依頼もお待ちしています。イベント・学校・幼稚園・保育園・結婚式・ショッピングセンター等、様々なシーンに対応可能ですので是非一度ご相談ください。 ☆ OverTone というコンビを組み、演奏しながらパレードできる、新しい楽器「走るピアノ」を使った世界初のパフォーマンスに挑戦しています。 ☆科学実験とクラウンパフォーマンスを融合させた「サイエンスパフォーマンスショー」も全国各地で行っています。 ☆お問い合わせお待ちしています!!! 東京都公認ヘブンアーティスト ナゴヤポップアップアーティスト
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プレゼントした星のTシャツ

かれこれ○○年前、音楽の起源に触れたくて、一人バリ島を旅した事がある。

 

 

バリ島、と聞くと、寺院巡りにビーチ・ダイビング…など、外国人観光客向けの高級リゾート地というイメージが強いが、それは空港周辺の限られた都市だけの話で、バスに数時間も揺られていると、外国人の姿はほとんど見かけなくなる。

僕の目的地は空港からバスを乗り継いで5~6時間ほどのところにある「サンカラグン」という小さな村だった。

 

 

世界には、完成された西洋音階・音楽理論の影響を全く受けずに独自の進化を遂げた音楽がいくつか存在するが、サンカラグンに古くから伝わる「ジェゴグ」もそんな音楽のひとつだ。

 

 

ジェゴグとは、長さの異なる竹筒を木琴のように横に並べた楽器の名前であり、そしてそれらを叩いて奏でられる音楽の事をも指す。

特に、「ムバルン」と呼ばれる、まるでチーム対抗バトルのような演奏形態が独特だ。

2チームがお互いを邪魔するかのように、同時に全く違う曲を演奏するのだ。

最初は不協和音でしかないのだが、次第に不思議に混ざり合い、うねり始める。

 

 

サンカラグンで、ジェゴグの伝統を受け継ぎ守り続けている「スアール・アグン」というチームに、約2週間、体験入団させてもらおうという旅だった。

もちろんアポなどない。

 

 

いきなり訪ねてきた見知らぬ日本人にスアール・アグンは優しかった。

ジェゴグについて学びたいと言うと、稽古場にもなっている団長の家の離れの部屋に寝泊まりする事を許され、早速練習に参加させてくれた。

そればかりかすぐに揃いの衣装を仕立ててくれ、なんと2日後にはライブに出演していた。

楽譜などはなく、いくつかの決まったパターンを覚えてさえいれば、それ以外はほぼアドリブだったので、1人ぐらい素人が混じったところで大きな問題はなかったのだろう。

「とにかく力いっぱい叩け」本番前に言われたのはそれだけだった。

 

 

スアール・アグンは外国人観光客を相手に定期的にライブをしていた。

のどかな村の景色には不釣り合いなくらいピカピカに光ったツアーバスがリゾートホテルに宿泊している観光客を乗せてやってくることもあったし、逆に街の高級レストランまで、こちらが演奏をしに行くこともあった。

オンボロのトラックの荷台にどかどかと何台ものジェゴグを載せ、さらにメンバーがジェゴグとジェゴグの隙間に挟まって曲乗りの様になりながら5~6時間トラックに揺られる。

ジェゴグにぶら下がったり、みんなで大声で歌ったり、長い道のりも少しも退屈そうではない。

レストランに着くと、すぐに準備をし、豪華なディナーを楽しんでいる客達を前に演奏、そして終われば飯も食わずすぐにまたトラックに乗り込んで帰る。

途中の屋台でみんなで安い麺をすすり、サンカラグンに戻る頃にはもう真夜中だ。

 

 

サンカラグンの人々のほとんどは農家で、基本自給自足の生活をしているが、ジェゴグの演奏による収益もあるため(とはいえかなりボラれていることは明白だったが)のんびりとした生活をしていた。

午後になると若いメンバーが稽古場に集まって来て数時間練習をし、夕方になるとみんなで広場に行ってサッカーをした。

夜御飯はほぼ毎日のようにおごってくれた。

そんな生活を送りながら、2週間、未知の音楽のメロディ・リズムをできる限りたくさん吸収しようとした。

 

 

ついに帰国する日になった。

ジェゴグを教えてくれたりサッカーしたり、いつも一緒にいてくれた若者グループの中でも、特に仲良しになった1人の青年が、チェーンのついたアクセサリーのようなものをくれた。

それにどんな意味があるのかはわからなかったが、彼がとても大切にしている物らしい事は容易に想像できた。

自分もお返しに何かプレゼントしたかったのだが、リュック1つで来たためにプレゼントできるような物は日本から何も持って来ていなかった。

それでもリュックサックを漁ってみると、出てきたのは替えのTシャツ1枚だけだった。

別にファンでもないドラゴンズの、当時の監督だった星野仙一氏のイラストがでかでかとプリントされたTシャツ。

出してから後悔したが、意外にも彼はとても嬉しそうだった。

 

 

それから数年が経ち、「世界ウルルン滞在記」という番組で、「熱闘3時間!バリ島音楽の格闘技に…原田龍二が出会った~~」(下條アトムの声で)という回が放送され、ジェゴグが特集されていた。

ジェゴグといえば、もちろん行先はサンカラグンしかない。

数年前に自分が辿ったのと全く同じルートで、全く同じ村に原田龍二が辿り着く。

そこに住む人々ももちろん同じだ。

画面に見覚えのある風景が映し出され、懐かしい顔ぶれが並ぶ。

 

そこには一番仲良しになった彼の姿もあった。

そして彼の胸の上では、ドラゴンズのユニフォームを着た星野仙一氏が白い歯を出して笑っていた…

 

 

以上、本家のすべらない話、ほっしゃん「寄付した星のセーター」に勝るとも劣らない、“星の”Tシャツのお話でした。

 

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