手紙(エッセイ)
この記事を書いている人 - WRITER -
☆様々な音楽制作をしながらクラウン(道化師)としても活動しています。
☆作詞・作曲・編曲など、音楽制作に関わるありとあらゆるお仕事をお待ちしています。是非一度ご相談ください。
☆また、クラウンパフォーマーとしての出演依頼もお待ちしています。イベント・学校・幼稚園・保育園・結婚式・ショッピングセンター等、様々なシーンに対応可能ですので是非一度ご相談ください。
☆ OverTone というコンビを組み、演奏しながらパレードできる、新しい楽器「走るピアノ」を使った世界初のパフォーマンスに挑戦しています。
☆科学実験とクラウンパフォーマンスを融合させた「サイエンスパフォーマンスショー」も全国各地で行っています。
☆お問い合わせお待ちしています!!!
東京都公認ヘブンアーティスト
ナゴヤポップアップアーティスト
手紙(エッセイ)
思い出すまでには多少の時間を要した。
物心ついた頃から上京するまでを過ごした実家が遂に取り壊される事となり、かつての私の部屋を片づけていた時、机の引き出しの奥の方から、その手紙は出てきた。
小学校の卒業式の日、別の中学校への進学が決まっていた私に、ずっと憧れだった女の子がそっと手渡してくれたものだった。
しかしその手紙は普通の手紙とはちょっと違っていた。
彼女は、真っ直ぐに私を見つめ、こう囁いたのだ。
「10年間は中を見ないでね」。
私はその言葉を忠実に守った。
しかし思春期の荒波が、そんな幼い約束も、手紙の存在さえも、いつしか忘却の彼方へと運び去っていた。
「時効成立か」。
私はその手紙を開けてみることにした。
今更何を期待しているのか、高ぶる気持ちを不器用な指先が証明していた。
逸る心を抑え、ゆっくりと便箋を開くと、、、
そこには何も記されてはいなかった。
いや正確には、何が書いてあるのか読み取れないぐらい霞んでしまっていた。
当時の女の子達の間で流行っていた蛍光インクは、10年余りの歳月に耐えることができなかったのだった。
あの日の少女はカラフルなペンで、どんな想いを伝えようとしたのか。
拙い恋心だったのか、それとも他愛のない別れの台詞だったか。
今となっては知る由もない。
ここにあるのはただ、薄桃色の淡い染みの残る一枚の便箋と、久しく忘れていた微かな胸の苦しさだけである。(2001)
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